木造2階建 約37坪
2011年11月竣工

sa2-9

札幌の市街地、周囲には3階建住宅やマンションも多く建っています。
そういう立地ながら、できるだけ生活のなかで北海道の自然を感じられるような家にしたいと思いました。
小さな庭は建物、薪置き場、樹木でゆるやかにとり囲み、道路からの視線を気にせずに過ごせるような中庭をイメージしています。玄関を入ると細長い土間になっていて、それはリビングダイニング前の土間へとつながります。南面の土間には蓄熱効果も期待しています。
この家の中心は食事の場であり、ダイニングはプランのうえでも中心になっています。
西側奥においた薪ストーブはベルギー製のドブレ640CB。ガラス面が大きく火がよく見えます。
キッチンは当別町の家具工房「旅する木」でつくってもらいました。高さや大きさ、引き出しの位置等全てオーダーメイドです。天板は北海道のサクラ材。シンプルな中にもつまみのデザイン等旅する木の須田さんのセンスが活きています。
そのうち家庭菜園をやり、土間では干し野菜をつくったり、鉢植えを置いたり…それを料理して、頂いて、堆肥にしてまた庭に戻して…そんな風に小さいながらも有機的な循環ができるといいなと思っています。

 

sa2-4

sa2-3

sa2-2

sa2-6

sa2-5

 

構造材は北海道産のトドマツ無垢材を使っています。
キタヂカラ木材店さんが道産材をそろえてくれて、それを武部建設の大工さんに手刻みで組み上げてもらいました。床仕上げもトドマツの厚板を張っています。耐力壁はコストのこともありカラマツ合板を選択しました。
屋根はガルバリウム鋼板の無落雪仕様です。雪の荷重も負担することになるので構造材はより太いものが必要になります。この家は基本的に柱は4寸角(通し柱は5寸角)、梁幅も4寸としています。伝統の仕口・継ぎ手を基本に、補助的に金物も使用しています。

sa2-7

壁の漆喰素材も北海道の素材を集めてつくりました。
訓子府の消石灰、糊は日高の黒葉銀杏草、つなぎの繊維は新冠の亜麻、です。
(亜麻については亜麻畑で刈り取るところから自力でつくったので残念ながらフワフワの繊維とはならず、市販の麻繊維も使用しました。)その北海道漆喰、どんな風になるのか心配だったのですが…左官屋さんのアドバイスを受け、予想以上にいい感じの仕上がりになってくれました。真っ白ではなく、アイボリーがかったような柔らかい色合いです。2階の壁はセルフ施工です。

sa2-8塗る前はグレーがかった色

以前、群馬でいくつか手がけた真壁の住宅は杉の構造材アラワシ+しっくいという仕上げが多く、
基本的には北海道でもその方向でつくっていきたいと思っています。
ですので構成は同じなのですが、地域材を使うと自然と色合いや雰囲気が違ったものになってくるというのは面白いです。
北海道の材でつくった真壁は本州の真壁の家よりもトーンはあかるく、柔らかい印象です。

写真 佐々木育弥氏
2016年7月撮影(竣工後約4年半)
※施工中の写真2枚は正田撮影